ぷららがセリエA放映権を取得した理由
ぷらら というインターネットプロバイダーが、セリエAの国内放映権を取得した。
セリエAの放映権は非常に高額で、以前にもWOWOWとスカパーが争奪戦を
繰り広げるなど、かなり大きなビジネスとなっている。
ちなみにスカパーがセリエAの放映権を取得した際には20万件以上の加入者増が
あったというから驚きである。
さて、今回放映権を取得したぷらら(正式社名はぷららネットワークス)であるが、
プロバイダーとしては大手の一角を占めており、なかなかの規模を持つ。
だが、単独でセリエAの放映権を取得できる程経営に余裕がある会社ではない
だろう。決算が非公開なのであくまで予想であるが、売上高150~200億、経常利益
が5億円~10億程度であろう。
この規模の会社が年間10億円以上とも言われているセリエAの放映権料を取得する
のは容易な事ではない。
この裏には、親会社であるNTTグループの存在が見え隠れする。
ぷららは元々NTT東日本を母体とする会社であり、現在も筆頭株主はNTT東日本で
ある。また、NTT西日本などのNTTグループ各社も株主となっている。
ぷららは4th MEDIA というサービスを行っているのだが、これはいわばインターネット回線
を通してテレビ番組を配信するサービスである。乱暴に言えば、スカパーと同じようなサービ
スである。
NTT東西は光ファイバーを売り込むためのネタとして、この4th MEDIAを積極的に売り込んで
きた。光ファイバーほどの高速回線をフルに生かせるサービスは映像配信くらいしかないのである。
だが、4th MEDIAまで契約するとかなりな金額がかかる上、決定的なコンテンツを提供できて
いなかった。
4th MEDIAの最大のライバルである、Yahoo!BBのBBTV がかなり契約者数を伸ばし、驚異と
なってきただけに、一発逆転を狙ったのが今回のセリエA放送権取得という訳である。
このように、NTT東西の光ファイバー売り込みという思惑があるため、今回の件に関してNTT東西
から何らかの援助(特に資金面)が有ったことは想像に難くない。
現在、NTTグループのブロードバンド戦略を担う会社は、ポータルサイトgoo を運営するNTTレゾナント
であるが、こちらは屋台骨であるgooの立て直しに必死であり、セリエAにまで手が回らないという状況
のようだ。
このような経緯から、ぷららが放送権の取得に至ったようである。
いずれにせよ、サッカーファンにとって、ネット経由でもセリエAを見ることができるようになるのは
望ましい状況である。